アパートを所有し経営しているオーナーにとって、建て替えのタイミングは非常に重要なポイントです。
特に木造アパートは鉄骨造アパートに比べ、建て替えのタイミングは25年近く早いと言われています。
また、建て替え時には入居者への説明と立ち退きの依頼、立ち退き料の交渉と支払い等多くのステップを踏む必要があります。
オーナー自ら行う事もあれば不動産会社に依頼する事もありますが、うまく話がまとまらない場合は弁護士に依頼し係争となるケースもあります。
そのため、建て替えをするタイミングを正しく把握し事前準備を進めておく事は、安定したアパート経営において必須項目だと言えます。
この記事では木造アパートの建て替えについて解説します。

現在築年数が20年を経過している木造アパートを経営しているオーナーは、是非最後までお読みください。
木造アパートは建て替えしないとどうなる?
木造アパートを建て替えせずに放置した場合、どうなるのでしょうか。
建て替えはすぐにできるわけではなく、長ければ数年の準備が必要になります。



その間に、次のようなトラブルが発生する可能性があるため、注意が必要です。
倒壊のリスクがある


地震や土砂崩れ、ゲリラ豪雨による地盤の変化によって木造アパートが倒壊するケースは増えています。
木造アパートの倒壊は建物の損壊だけでなく、入居者の人命を脅かす事になります。
そのため、倒壊の可能性は限りなく減らしておく必要があります。
民法第717 条1 項は、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」と定めています。
賃貸建物における事故とオーナー責任
然るべき対応をせずに建物を放置しておくと、莫大な損害を被ることになるので、建物が古くなってきたら解体、建て替えをきちんと考えるようにしましょう。
維持費が増加する
建て替えをしないままにしておくと、築年数は当然経過し続けます。
建物の外壁や設備は築年数に応じて劣化するため、築浅時点よりもアパートの維持費は増加する事になります。
また、建物の定期検査で耐震補強の必要性が判明した場合は、多額の費用が必要となります。
前述したように建て替えはすぐに実施する事ができないため、費用発生が判明した段階で建て替えをする事はできません。
そのため、建て替えをする前提であっても必要費として負担する事にもなりかねません。



このように、突発費用やランニングコストが増加してから建て替えを検討するケースは非常に多く、本来支払わなくとも良い出費が発生している事になります。
入居数が減る


築年数が経過すると共に長年住んでいた人が退去する事も増えますが、入れ替えで入居者が担保されているのであれば問題ありません。
しかし、築年数が経過した木造アパートは耐震性の懸念点などから入居者がすぐに集まらない場合も多いです。
その場合は家賃を下げ、再募集する必要があります。
一度下げた家賃を再度アップする事は難しいため、築年数経過と共に収益は悪化する事になります。
これらを踏まえ、建て替えが必要だと感じるようでしたら、本格的に検討に移りましょう。 下記では実際に建て替えるとなった時に掛かるであろう費用について解説していきます。
建て替えに必要な費用とは?


木造アパートの建て替え費用は建築メーカーによって様々ですが、一般的には1部屋で700万円という相場はあります。
これは戸数ではなく、部屋数によって計算されます。
つまり、2LDKの部屋が5戸あるアパートに建て替えするのであれば、10×700万円=7,000万円となります。
建て替え費用は木造の材質やデザイン性、設備のグレード、土地形状によって大きく変わります。



そのため、将来建て替えを実施する場合に備え、早めに複数の建築会社から見積をもらっておくようにしましょう。
木造アパートの建て替えタイミングはいつ?
それでは木造アパートを建て替えするタイミングはいつになるのでしょうか?
- 築年数だけで検討するのではなく、建て替えが必要もしくは建て替えた方が得になるというフェーズに入った段階で実施する事です。
- 建て替えには1年~2年の期間を要するケースもあるため、早めの検討が必須です。
木造アパートの建て替えを検討する際には、次のポイントをしっかり抑え、ベストタイミングでの建て替えを実施するようにしましょう。
大規模修繕工事が必要となった
大規模修繕工事とは、外壁や設備、配管、耐震補強工事といったアパート全体を修繕する大がかりな工事の事です。
これらの工事不要は本来家賃に含まれていますが、築年数が経過した木造アパートは賃料が安くなっているため、費用が不足する場合があります。


木造アパートの大規模修繕工事は数百万~数千万になる事もあるため、数年後に工事実施が必要と判明した時点で建て替えの検討を進めるようにしましょう。
ただし、大規模修繕工事を実施する事で価値が上昇し、家賃を高く設定できる可能性もあるため慎重に検討する必要があります。
法定耐用年数を経過した
法定耐用年数とは、木造アパートの購入費用や維持費を経費として計上する事ができる年数の事です。
法定耐用年数を経過した後は経費計上できず、純粋な費用負担となります。
スマートフォンの機種変更をするように建物の建て替えを進める事ができるため、最近の建て替えトレンドとして注目されているタイミングです。



そのため、このタイミングで建て替えを検討するオーナーは多いです。
入居者数が減った
家賃収入が減ったタイミングで大きな費用を負担する事を懸念するオーナーも多いですが、減ってしまった家賃収入を増やすためには建て替えをする方法が一般的です。
そのため、収益バランスが崩れる事が判明した段階で建て替えを実施し、安定した家賃収入を確保するようにしましょう。
数年後に人口増加するタイミングが分かった


東京オリンピックやジブリパーク開園、2025年には大阪万博開催など、人口が一時的に増加するタイミングはある程度推察する事ができます。
このような世界的イベントが開催される場所に運よく保有している木造アパートがある場合、このイベントに合わせて建て替えが完了するように進めていきましょう。
高い家賃設定を維持でき、建て替え費用を短期間で回収できる可能性があります。
不動産投資は地道な収益となるケースは多いですが、こういった国家事業を利用する事で効率良く収益化する事ができます。
まとめ:適切な建て替え時期を把握して利益を最大化しよう
木造アパートの建て替えには多額の費用が発生するため、建て替えを渋ってしまうオーナーも多いです。
しかし、建て替えをしない事で非常に大きなリスクを抱える事になってしまい、トラブルがあってからすぐに建て替えをする事はできません。
そのため、どのようなフェーズになれば建て替えをするのかをある程度検討しておき、ベストタイミングで建て替えを実施するようにしましょう。
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