所有している物件が耐用年数を経過した場合、どのような扱いになるのでしょうか。
強制解体や、投資用物件であれば立ち退き依頼をしなくてはならないイメージがありますが、実際はそのような事はなく耐用年数経過後も引き続き保有する事ができます。
耐用年数という言葉は建物の耐久性や資産価値という側面でよく使われますが、正しい使用方法を知らない人も多いです。
そのため、耐用年数が経過した不動産について誤認するケースもあります。
ここでは耐用年数とその使い方、リスクや売却方法について解説します。

現在築古の不動産を保有しており、処分を検討している人は是非最後までお読みください。
耐用年数とは
そもそも耐用年数とは、会計上や確定申告の際に減価償却資産の計算に使う指標の事です。
例えば木造住宅の場合は耐用年数が22年となっていますが、これは築年数22年まで減価償却して良いという事を表しています。
不動産の査定でも減価償却の計算を用いる事はありますが、あくまでも参考価格として使用しています。
つまり、耐用年数を過ぎた物件だからといって資産価値がないわけではなく、ただ単に減価償却期間が終了した物件という事になります。
耐用年数が過ぎた物件は倒壊の危険性があると勘違いする人がいますが、実際は過ぎていても問題ないことがほとんどです。
耐用年数を過ぎた物件のリスクとは


耐用年数を過ぎた物件は築浅物件と同じ扱いになるのかというと、残念ながら同じではなく築年数が経過している分のリスクがあります。



次のようなリスクがあるため、耐用年数が残っている不動産を保有しており売却したい場合は早めに不動産会社に相談するようにしましょう。
資産価値が落ちる
耐用年数が過ぎたからと言って資産価値がなくなってしまうわけではありませんが、それでも資産価値は下がります。
そのため、売却する予定があるのであれば数年でも耐用年数が残っている内に売却してしまう事をオススメします。
ただし、耐用年数があと1~2年で過ぎるような状態であれば注意が必要です。
耐用年数経過前と後で価値の差が大きくなりますが、経過後の価値下落は非常に緩やかになります。
そのため、慌てて売却するくらいなら経過しても良いので納得のいく価格で売却できるまで待つという方法もあります。



どちらが良いかは、売却に強い不動産会社に相談し判断するようにしましょう。
経費計上ができなくなる


投資用物件として保有している場合、耐用年数を過ぎるとその不動産購入や維持にかかった費用を経費として計上できなくなります。
新築で購入し長年減価償却している不動産であれば問題ありませんが、購入直後に経過してしまうと思わぬ損をしてしまう事にもなりかねません。
その他、耐用年数が経過した物件は耐震性に問題があるというイメージは根強く、売却をスタートしても中々買い手が見つからないという事も多いです。



特に投資用物件は耐用年数の期間によって売却額が決まる事もあるため、注意が必要です。
下記では、耐用年数を過ぎた物件でも上手く売却するための方法を解説していきます。
耐用年数を過ぎた物件は売却できる?
耐用年数が経過してしまった物件の売却には、コツがあります。
立地が良ければ特に気にする事もなく売却をスタートしても問題ないですが、立地に魅力がなければ売り方に工夫をする必要があります。



ここでは不動産買取専門店が物件を購入し再販売する際に用いるポイントを解説します。
戸建てだけでなく土地としても物件公開する


耐用年数という考え方はあくまでも建築物にのみ当てはまります。
そのため、土地として売却するのであれば築古物件であっても影響を受ける事はありません。
土地として売却する際には、戸建てと同額にするか価格差をつけるのかも大きなポイントになります。
戸建てと何も変えず現況のまま売却する「現況渡し」であれば同額となりますが、解体して引き渡す「更地渡し」や「確定測量」を行う場合はその費用を売却価格に上乗せしておきましょう。
このように、一工夫する事で早期売却のチャンスを大幅に増やす事ができます。
投資用物件として売却する
耐用年数を経過した物件を買い手が避ける理由として耐震性の心配があり、賃貸ではなく長年住むために購入する物件を選ぶ上では重要なポイントだと言えます。
しかし、賃貸を探している借り手はあまり気にしないという意見も多いです。
つまり、この場合は耐用年数を過ぎた物件は買い手よりも借り手の方が需要がある事になります。
借り手の需要があるのであれば、投資用物件として売却してしまいましょう。
投資家にとって重要なのは、借り手がつくかどうかです。
借り手を楽に募集できる物件であれば、投資用物件としての買い手も見つかる筈です。
さらには、前述した通り耐用年数を過ぎた物件は価値の下落が緩やかになります。
そのため、購入後に賃貸収入を数年得た後に売却する場合、購入金額とさほど変わらない金額で売却できる可能性もあります。



このように、投資家に向けた物件としての公開もオススメの売却方法です。
リフォームして売却する
耐震性に不安があって買い手の需要が伸びないのであれば、耐震工事を含めたフルリノベーションをして売却するという方法もあります。
一般的に110㎡の家屋内を全てリノベーションした場合、600万円~800万円の予算が必要だと言われています。
リノベーション費用を先に支払う事になりますが、買い手の需要は大幅に増やす事ができます。


また、前述した投資用物件としても魅力的です。
買い手は購入後のリノベーションをする必要がなく、家賃も高く設定できるからです。
どうしてもリノベーション費用を捻出できない場合は、不動産会社にリノベーションプランと費用をまとめたパンフレットを作ってもらい、リノベーション案として買い手がイメージできるような販売方法で進める事も可能です。
まとめ:耐用年数を正しく理解して売却を有利に進めよう
耐用年数は会計上の指標であって、資産価値を明確に定義する指標ではありません。
そのため、不動産の価値とは厳密には結びつかないものの、購入を検討する側としてはやはり耐震性という側面から懸念します。
そのため、まずは耐用年数の考え方をしっかりと理解し、売却する方法や売却金額を不動産会社と打合せをする必要があります。
耐用年数を過ぎた物件を売却する際には、販売力が強い不動産会社に依頼し失敗のない不動産売却になるようにしましょう。
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