古家付きで土地を売却する場合、どのようなトラブルがあるのでしょうか。
更地として売却する場合との違いを知ることで、不動産売却を円滑に進めることができます。
この記事では古家付き土地として売却するメリットとトラブルについて、解説します。
古家付き土地とは?メリットはある?
古家付き土地とは、更地ではなく建物が建っている状態で販売している土地のことです。
居住用の家が建っていることもあれば店舗兼住宅など様々な建物のケースがありますが、買い手は古家の所有権も取得することが売却条件となります。
そのため、通常の更地売却とは手順が少し変わることを知っておきましょう。

古家付き土地で販売するメリットは、大きく分けて2つあります。


1つは、解体費がかからないというメリットです。
100㎡の木造住宅を解体する際、約120万円~150万円の費用がかかります。
つまり、古家付き土地で売却するのであればこの費用を負担することなく売却できるため、売却益を大きく増やすことができるでしょう。
また、古家付き土地は中古戸建てとして検討できるというメリットもあります。
古家は住むことができない程経年劣化が進んでいる場合が多いですが、中にはメンテナンスすればまだ住むことができる家もあります。
そのため、そのような場合であれば不動産会社から古家付き土地として販売し、中古戸建てとして販売できる余地を残すことができます。
この場合は土地検討顧客だけでなく、中古戸建てを探している顧客も販売対象となります。
中には投資家が現金で購入する場合もあり早期売却となるケースもあります。
古家付きの代表的トラブル3選


古家付き土地はメリットもありますが、トラブルが起きることも多い販売方法だといえます。
ここでは古家付き土地の売却で起きやすい、代表的なトラブルについて解説します。
買い手が土地のイメージを持ちにくい
古家が建っている場合、道路から反対側がどのようになっているのかを確認できないことになります。
敷地内に入り確認する際には家の横を通らないといけないため、買い手が確認しにくい状況だといえます。
そのため、買い手は土地の裏側をイメージすることが難しくなり、購入を断念してしまう可能性があるでしょう。
また、土地の裏側以外にも周辺土地からの越境や地形、隣地からの視線がどのようになっているのか等のポイントが確認できないというデメリットもあります。



このように、土地を購入し家を建てる上で不透明な部分が増えてしまうことで買い手が購入判断できず、販売が長期化する可能性があります。
建物所有権移転の必要があり、解体リスクを買い手が持つ事になる
買い手が見つかり不動産売買契約を締結する際には、古家も契約対象となります。
そのため、引渡し時には建物の所有権も移転させる必要があり、所有権移転登記費用が余分にかかってしまいます。
また、買い手が土地として購入し家を建てる場合であれば解体をする必要があります。
つまり、買い手としてはなるべく家屋内を空にしておいて欲しいという要望があります。


そのため、契約時には家屋内の残存物を撤去して欲しいという依頼をされる可能性が高く、受ける場合には費用と手間がかかります。
さらに、買い手が解体するをする際のトラブルには、残存物以外にもアスベストの含有有無があります。
解体する家屋の面積が80㎡を超える場合は、アスベストの含有有無を調査する必要があります。
そして、万が一アスベストの含有が認められた場合、多額の解体費用が必要となります。
その場合は契約自体が履行不可能となり、買い手からは白紙解除の申し出があるでしょう。



このように、古家付き土地は更地よりも契約後に契約解除となりやすいため、注意が必要です。
契約不適合責任が起きやすい
契約不適合とは、契約の目的を達成できないことを表します。
例えば地中から建築を阻害する埋設物が発掘された場合、売主の費用負担で除去する必要があります。
そして、古家付き土地として売却した場合であっても、この責任負担を逃れることはできません。
更地として売却するのであれば、建物解体時に地中埋設物も同時に除去できる可能性があります。
また、更地にすることで周辺の越境状態が目視で確認しやすくなります。
そのため、更地にすることで契約不適合責任の対策をすることができ、安心して売却できるといえるでしょう。
このように、家屋を残した状態で売却する古家付き土地は解体費を浮かせるメリットと引き換えに、多くのリスクを抱えるという点を把握しておきましょう。
古家付き土地で売却する際のトラブル回避方法


古家付き土地で売却する際のトラブルについて解説しましたが、建物を解体する以外の回避方法はいくつかあります。
その代表的な方法として、契約時に買い手にしっかりとリスク説明を書面にて行うという方法があります。
買い手が全てを把握し納得の上で署名したのであれば契約不適合責任は適用されず、トラブルに発展する可能性を大きく下げることができるでしょう。
また、販売をしているタイミングでもしっかりと現地確認する旨を買い手に伝え、質問があればしっかりと対応することも重要です。



このような対策をすることで、引渡し後にトラブル対応に充てるための費用を想定しておく必要がなく、安心して売却益を計算することができます。
古家付き土地で起きやすいトラブルを回避して、スムーズな売却を!
古家付き土地で売却した際には解体費を浮かせることができ、売主にとって手残り額を増やすことができるというメリットがあります。
また、中古戸建てとして販売できる機会を得ることにもなるため、築年数によってはおすすめの販売方法だといえます。
その一方、土地購入を検討する買い手にとってはリスクのある土地になる可能性があり、販売が長期化することにもなりかねません。
契約後の白紙解除や契約不適合責任に関する追及があるなど、トラブルが起きることも多いです。
そのため、古家がある状態であっても地中や周辺がどのような状態なのか分かる資料を用意し、なるべく買い手が不安に感じない販売方法が重要となるでしょう。
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