不動産投資において、ボロ物件投資は利回りが高い投資として人気があります。
確かに、新築物件と比べて倍以上の利回りの物件が有ったりと、ぱっと見の収益性は高いです。
ただ、実際運営してみると、賃貸がつかなかったり、修繕費で予想以上の出費がでたりと、難易度が高い投資であることも事実です。
今回はボロアパート投資において、難易度を高くしているポイントと、その解決方法を解説していきます。
目次
ボロアパート投資の難易度が高い理由
ボロアパート投資の難易度が高くなる理由として、ボロ物件特有の問題があります。
ボロ物件投資特有の問題
- 収益に繋がらないリフォームをしてしまう
- 築古の物件は人気がなく募集難易度が高い
この二つの問題に上手く対処できないと、無駄な修繕費用、空き部屋の増加で確実に赤字物件になってしまいます。 無駄なリフォームはなぜ起こってしまうのか、人気がないことで起こる募集上での問題点は何か、それぞれ見ていきましょう。
ボロアパートは無駄なリフォームの見極めが難しい
築古のボロ物件は建物のいたるところにボロが出始め、普通の不動産投資より修繕費が掛かります。 そこの計算の読み間違えだけでも大幅な出費になるほか、現代に適合していない間取り、設備を更新する必要性があります。
リフォーム業者は何かと工事させようとしてくる

悪い言い方をすれば、リフォーム業者が利益を出すのはリフォームですから、何かと理由をつけて、リフォーム箇所を増やそうとします。 「古い設備だと入居してくれませんよ。」「水回りは一新しないと入居付け苦労しますよ。」 と不安を煽り、設備を導入させようとしてくる業者も中にはいます。 確かに古い設備が原因で賃貸がつかない事があり、できることなら設備を一新して新築同様にしたほうがいいに決まっています。

ただ、収支計算もせずに言われるがままリフォームをしてしまうと、リフォーム費用が過大になってしまい、返済に窮する羽目になってしまいます。
もちろん、全く意味のない場所を提案してくることはなく、善意で「ここもした方がいいですよ。」、「最近はこういったのが人気あります。」と提案してきてくれる方もいらっしゃいます。
基本的にリフォーム業者は、どこをリフォームしたら良い部屋になるか、ということを前提に提案をしてきます。
裏を返せば、投資のための効率の良い修繕は何か、という事に関しては、詳しくない可能性が高いのです。
もちろん、中にはそういったものを多く請け負っていて得意だ、という業者も中にはいますが、そうでない事の方が多いです。
そのため、投資のための修繕としてみると過大な工事内容を提案してきてしまうので、こちら側でいらないものを削っていかなければなりません。
その削るべき部分の見極めが初心者には難しいことが多く、最初の躓きになるのです。
収益に繋がらないリフォームを避けなければいけない


顧客ファーストで住みやすい部屋づくりをするのは間違いではありません。 ただ、私たちが目指すべき部屋とは、あくまで投資効率の良い部屋作りであって、より良い部屋作りが目的ではありません。 意味のないリフォームは避けなければなりません。



もちろん劣化が激しい部分の修繕など、必要最低限のリフォームはすべきですが、過剰なリフォームはいたずらに予算を喰うだけで意味がありません。
設備を一新したほうがいい、あの設備が足りない、なんてことを言ったらキリがありません。 それこそ既存の建物をぶっ壊して建て直す羽目になります。 そもそもどんなに物件を綺麗にお化粧直しをしたって、本物の新築には勝てないのです。 結局競合物件との差を埋めようとしても、埋めきれない部分の差で負けてしまうのです。 そういったことを念頭に置いてリフォーム箇所を吟味しなければなりません。
ボロアパートは募集の難易度が高い
築古の部屋は人気がないため、安い賃料であることは絶対条件です。 その中でも、募集時に様々なハードルが存在し、それをクリアして初めて借り手がつき、ただ募集を掛ければ自然と部屋が埋まるわけではないのです。
新築時と賃貸需要がずれている可能性が高い


ボロアパートも、新築ピカピカの時期がありました。
ただそれは遠い昔の話、、、
というのは大げさですが、やはり新築当時と今では、建物の状態、周辺の状況、賃貸ニーズ、全てが違います。
周辺の空き部屋数、地域の人口構成、流行りの間取り、周辺施設も加味して建物は建てられるわけですが、時代の移り変わりとともに、それら全てが変わっていくわけです。
ボロアパートも当然新築時のニーズに合わせてつくられており、現在のニーズとずれてしまっていることが多くあります。
そうなってくると、その地域で現在必要とされていない間取りや設備となってしまっている可能が大いにあるわけです。
リフォームで間取りや設備を変更すればいいのですが、その分費用が嵩み、どんどん利回りを下げることになってしまいます。
そいったニーズとずれた間取り、設備に気づかずに購入してしまい、後で修正に苦労してしまうことがあるので注意が必要です。
賃料が安くないと借り手がつかない


ボロ物件の宿命ですが、賃貸物件というのは築年数が古ければ古いほど賃料が下がります。 ご自身に当てはめてみればよくわかると思いますが、予算が十分にあるのなら迷わず新築物件を選びますよね。 最新の設備、綺麗な外観、友達に自慢できる物件に住みたがるものです。 好き好んで古い物件に住もうという人なんてごく少数です。 古い物件に住むインセンティブは、賃料の安さ位です。 その安い賃料をいかに安い修繕で上げるか、古くても住みたいと思える工夫をするのが築古ボロアパート投資の面白いところでもあるのですが、難しいことに変わりはありません。
賃貸業者が募集に消極的


賃貸業者が賃貸の仲介業務をするインセンティブは、仲介手数料です。 そして仲介手数料の金額は定額ではなく、通常であれば家賃の2か月、と家賃ベースで決まります。 新築ピカピカで賃料の高い物件をなるべく成約させたい業者にとって、元々の賃料が安い築古物件は賃貸業者にとって旨味がなく、あまり手を付けたがりません。 そのため、本命物件を紹介するための当て馬物件にされがちです。 先に状態の悪い築古物件を見せた後にそれよりグレードの良いものを見せることで、本命物件の成約率を上げることを賃貸業者はよくします。 問い合わせ、内見の数は多いのに、成約する気配が微塵も感じられないのは、まさに当て馬状態であると言えます。 仲介手数料にプラスのインセンティブをつけたり、粘り強く営業を掛けたりすることでやっと賃貸がつきます。 不動産投資は事業だ、とはよく言われることですが、営業力の有無で賃貸に差がついたりするので、ここもまた初心者へのハードルとなります。



築古のハンディキャップは非常に大きいです。
難易度が高い理由がわかりましたでしょうか。
- リフォームによるコスト増大
- ボロ物件の賃貸需要が無いことによる募集ハードルの高さ
これらが原因で難易度が高くなってしまっていました。 この問題を踏まえて、どうやったら難易度を下げられるか、解説していきます。
ボロアパート投資の難易度を下げるためのヒント
問題点がわかったところで、各対処法は下記の事項になります。
問題点の対処方法
- 力を入れるべきリフォーム箇所の見極め方を身につける
- 事前調査で難易度の高いエリアの物件を避ける
これらができるようになることで、難易度をグッと下げることができます。 それぞれ見ていきましょう。
良いところを伸ばすリフォームに焦点を当てる


無駄なリフォームの見極めが難しいという話をしましたが、ではどういったリフォームをすべきなのでしょうか。
目指すべきリフォーム
- 不足している設備を埋めるリフォーム
- 魅力となり得る設備を強化するリフォーム
収益に繋がらないリフォームの一例でも解説しましたが、築浅物件との差を埋めようとしても、埋めようがない部分が出てきてしまい、その差で負けてしまいます。 ではどうすればいいか。 少し大げさな言い方をすれば、良い部分を徹底的に磨く、という事をすればいいのです。 人には誰しもこだわりというものが存在しますよね。 そして、そのこだわりの為なら多少の欠点は気にしない、という方が多いのではないでしょうか。 部屋も同じです。 古めかしさ、という欠点があったとしても、それを上回るこだわり、もとい魅力を打ち出せばいいのです。


例えばですが、ワンルームだけどキッチンが大きい部屋、というのは大きな魅力となり得ます。 基本的に一人暮らしでは料理をしないことを前提につくられているので、キッチンの設備は簡素であることが多いです。 ただ、中には料理が趣味で広いキッチンがあるワンルームを探している人も存在し、そういった方が興味を持つような部屋にリフォームをすればいいのです。 ワンルームでキッチンが広い部屋、という物件自体少ないので、競合が少ない中勝負をすることができます。 その中で、築年数は古いけど、キッチンにこだわりたい人向けの部屋として宣伝すれば、部屋を借りてくれる確率はかなり高くなると思いませんか?



必要なリフォームの考え方についてなんとなく理解できたでしょうか。
- 魅力となる部分を見つけ、そこのリフォームに力を入れる
- 築古と割り切って、むやみやたらに設備を追加しない
この二つを意識して必要なリフォームを見極めるようにすれば、どうすればいいかわからない、業者の言われるまま、といった状態から抜け出せるようになるでしょう。
事前の調査で賃貸需要を把握しておく


募集の難易度を下げられるか、運営が成功するかどうかは、事前の調査が全てと言っても過言ではありません。
チェックポイント
- 検討物件の立地、築年数、間取りでも賃貸需要はあるのか
- 今の状態では難しくても、リフォームをすれば需要を満たす地域なのか
この二つは確実に抑えておきたい次項です。 調査しておけば、必要なリフォームは何か、どの層にアプローチして宣伝すればが明確になり、戦略も立てやすくなります。 また、建物の内部要因であればリフォーム次第で問題点は解消できますが、地域性の問題で賃貸需要がない場合、どう頑張っても空室を埋めるのは難しいです。 ヒアリング、調査方法については下記の記事で詳しく解説しています。
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ボロ物件に関わらず、ここを怠って調べずに買ってしまった結果、全く賃貸がつかずに泣き寝入りをする羽目になることもあるので、この調査はマストです。 しっかり調べておきましょう。
自分が対処できる難易度を見極めて、ボロアパート投資に挑戦しましょう


ボロアパート投資の利回りがなぜ高いかというと、今回解説したような問題点を抱えているからです。 不動産投資に限らず、投資の世界で利回りが高いものはそれだけリスクも高いというのと同じです。 利回りの高さに目がくらんで、考えずに投資をするのは、自殺行為と言えます。
- 意味のあるリフォームの実践
- 賃貸需要の有無の確認
今回解説した次項を踏まえ、本当に投資しても大丈夫かをよく確認して、挑戦していただけると幸いです。
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