賃貸併用住宅の経営失敗談。後悔しないために知っておきたい需要の違い

賃貸併用住宅で後悔しないための失敗談
相続や古家の取り壊しで手に入れた土地、何に使おうかと土地活用で悩みますよね。
その中で、自分たちが暮らしながら賃料収入も獲得できる賃貸併用住宅は、土地活用の一つとして人気です。

ただ、賃料収入でローンを返しながら生活ができる、という安直な考え方で建ててしまった結果、返済に四苦八苦する、というパターンは多いです。
賃貸併用住宅で失敗する最大の原因は、賃貸と実需での需要の違いを理解できていない、という点につきます。
賃貸物件と実需物件の需要の違い
  • 賃貸物件は比較的一人暮らしが多く、駅距離を重視
  • 実需物件はファミリー層が大半の為、駅距離よりも、部屋の広さ、駐車場の有無を重視
このニーズが相反するタイプの部屋が同じ建物内にあることの恐ろしさに気づかずに、「賃料でローンを返せるから返済が楽」という安直な言葉にそそのかされて、地獄へまっしぐら、という方が多いです。

勿論、両方の需要がある地域で建てれば問題無く経営ができますが、簡単にはそういった地域は見つかりません。
上記のようなリスクを孕んでいるので、もし賃貸併用住宅を検討しているようであれば、地域の賃貸需要調査を必ず綿密に行ってください。

今回は、実際に賃貸併用住宅を建てて後悔した失敗談を伺うことができたので、ご紹介いたします。


目次

賃貸併用住宅を建てて後悔した私の失敗談

サラリーマンの夫と、パート主婦の私。
少しでも老後の資金を蓄えたいと、数年前に賃貸併用住宅を建てました。

実際に賃貸経営をやってみて、失敗だったなと思うことを包み隠さずお伝えしたいと思います。

これから賃貸経営をやってみようかなと思っている方の、ヒントになれば嬉しいです。

友人から勧められて建てた賃貸併用住宅、失敗するなど微塵も考えてなかった

おしゃれな家なら入居希望者がいる、というのは間違いです
私たちの夫婦が建てたのは、駅から徒歩20分の物件。
なけなしの預金をはたいて購入した土地に、3階建ての賃貸併用住宅を建てました。

当初は普通の一軒家を予定していたのですが、銀行員をしている夫の友人から「どうせ家を建てるのなら、賃貸できるデザインの方が後悔しないよ」とアドバイスをもらい、計画は大きく変更。

Aさん

毎月賃料が入るのならと、安心して住宅ローンを組めると前向きになっていました。

某ハウスメーカーさんにお願いをして、1階と2階が賃貸フロアに、3階部分は、私たち夫婦のスペースにすることにしました。

自分でいうのも何ですが、建てた当初はヨーロッパ風のおしゃれなデザインのおうち。

こんなにキレイならば、入居者は次々に押し寄せるだろうとタカをくくっていました。
そのため3階建てにしたことで、大きく膨らんだ建築費も、家賃収入でもとを取り返せると信じていました。

この条件では住まない人が大半と言われる。需要を把握してなかった事で起こった失敗

一人暮らしとファミリーでは、住む場所が違うのです
ところが実際に賃貸併用物件を始めてみてびっくり。

驚くくらいに入居希望者が来ないのです。
新築だし1DKでピカピカの内装。

壁紙もオシャレで凝ってるし、照明も写真を撮りたくなるくらいキレイ。
オーナーの私たちとしては、何がいけないのかさっぱり理解できませんでした。
「このままでは家賃収入が手に入らない」と焦った私は、恥ずかしいという思いを捨てて近所の不動産屋さんに頭を下げに行く始末。

すると不動産会社の女性から、思わぬひと言を受けて絶句しました。

「駅から徒歩20分だと、かなり入りたいという人が少ないんですよね。いま駅チカの物件が人気なので、まずは徒歩5分くらいから探されるお客さんが多いんです。

つづいて徒歩10分。それでもいい物件が埋まってしまうと、諦めて15分となるんです。

20分となると、車を持っているファミリー世帯が中心になると思うのですが、これは1DKの間取りですよね?シングル向けで徒歩20分は新築でも住まない人が大半です。」

その言葉を聞いた私はビックリして、開いた口がふさがりませんでした。
改めて、不動産会社の女性がいった言葉をまとめると、次のようになります。
賃貸不動産のポイント
  • 徒歩15分以上の物件は、入居者が集まりにくい
  • 建てる前に、現場の市場調査は必須
私たちはすでに建ててしまった後なので、後の祭りになりますが、本来であれば「建てたい駅にどんな人が住んでいるのか」「そこの土地に賃貸併用物件をたてて、本当に成功するのか」じっくり市場調査をおこなってから、手をつけるべきとのこと。
それをせずに突貫工事で計画を進めてしまうと、入居者があつまらずに最悪のケースでは資金繰りに困ってしまうという話でした。

たしかに私たちが建てた駅は、お世辞にもにぎわっている場所ではないエリア。
駅前に昔ながらの商店街がありますが、シャッターがしまっていて暗い感じがします。

また建ててから気付いたのですが、近くに石油系の工場が2~3軒あるので、昼間に窓をあけるとツンと鼻をつく嫌な臭いもします。

また公園では昼間からタバコを吸っている中高生もいるので景観としては最悪。

見学に来てくれたものの、内観した時点でキャンセルする人も多かったので、こうした理由もあるのかもしれないな、何かしら特別な事情がないと住まないエリアだな、と思いました。

埋まらない空室とローン返済に追われる日々。心的ストレスも増えがち

借りてる人がいる分、お金以外の事でも心配事が発生します
現在は恥ずかしいことに、貯金をきり崩しながら、私もパートに出て赤字を補っています。

1階には4部屋つくったのですが、今のところ1室だけ埋まっていて(日本語がたどたどしい外国人留学生です)あとの3部屋は空室の状態です。

また運の悪いことに昨年の終わりに、駅の反対側に大きな賃貸マンションがオープンしました。

駅から直結で行けるとのことで、多少家賃は高いみたいですが、アクセスの良さから部屋はほぼ満室だということです。
「誰も住まないなら、自分の住まいとして使えばいいじゃん」と言われることもあるのですが、いつ入居者が出てくるか分からない部屋を、私たち夫婦が勝手につかう気にもなれず、とても変な気持ちがしています。

また、1人の入居者がいることで、家を空ける気にならなくなってしまい、気軽に海外旅行へ行けなくなってしまいました。

ローンの返済も大変なのですが、こういったストレスも多い。

できることなら賃貸併用住宅をはじめる前の状態に戻りたいなと、なぜアドバイスを鵜呑みにしてしまったのだろうと後悔しています。

賃貸併用住宅を購入して後悔しないためにも、市場調査は綿密に

現在は何とか生活ができていますが、これからは未知数です。

最悪ローン返済に困ったら、住まいごと売却しようかと夫と話しています。

ただ賃貸併用住宅の場合は、間取りの悪さから一般住宅に比べて買い手がつきにくいそうです。


中途半端に賃貸も埋まってしまっているため、リフォーム、取り壊しという選択肢を安易に入れられないのもマイナス点とのこと。

住んでいるのが自分たちだけならもう少し売りやすいのですが、せっかく住んでもらっている人を無下にすることもできず、歯がゆい思いをしています。

もし「賃貸経営っていいよね」と思っている方がいたら、ぜひ体験者の声をふまえて、色々と検討してみてほしいです。

私の場合は失敗談になってしまいましたが、きちんと下調べをして、経営に成功している方もいらっしゃるはずです。

市場調査をじっくりしてから、建築に踏み切ることを声を大にしてお伝えします。
頑張ってください。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次