不動産投資、あまり馴染みのない人には危険なイメージが強いですよね。 確かに、不動産について無知の状態で始めるのは危険この上ありません。 人生で一番高い買い物と言われるくらい高額なものなのに、大して調べもせず、業者の言われるがままに購入していく人を見ると、身の毛がよだちます。 このブログを読んでいただいている皆さんには、そういった罠に掛からないよう気を付けていただきたいです。 今回は実例も交えて、不動産投資におけるアパート経営の難しい点、気を付けるべき点について解説していきます。
目次
アパート経営は賃貸需要があっても難しい

アパート経営で難しいのは、建物、地域の変化に合わせ、長い間安定的に入居がある状態を作り出すことです。
購入当初は上手く賃貸が埋まって満室が続いていても、数年後には空室だらけのアパートになってしまうことは珍しくありません。
年数が経つにつれて老朽化が進み、どんどんアパートの人気がなくなっていきます。
それに加え、地域の賃貸需要の変化や新築物件の出現によって、自分の物件は見向きもされなくなってしまうのです。
賃貸需要があっても失敗する理由
- 地域の変化で、物件が賃貸需要を満たさなくなる
- 新築物件の台頭によって物件が埋もれる
- 老朽化に対して適切な修繕ができていない
こうなってしまうと、賃料収入でのローン返済が難しくなってしまいます。 小さい規模の物件であれば、自分の本業の収入から補填することで何とか持ちこたえることができますが、物件の規模が大きいと、本業の収入では賄えない額の返済額になり、まさに借金地獄になってしまうので注意が必要です。 一人目の方は、まさに典型的な空室物件を作ってしまった方の実体験です。
新築当初は順調だったアパート経営

地元、大阪府阪南市に住んでいます。 親は向かい畑仕事をしていて私も幼い頃は良く手伝っていました。 親が高齢化してからは農業を止めてしまい、遊休地の状態でずっと来ていました。 その畑地が、父親の死後、相続の関係で私が引き継ぐことになり、それなりの相続税をしっかりと払って私名義のものになりました。
当時、その土地を転用して不動産投資ができないかと考えたことありましたが、地区条例で賃貸の物を作ってもダメだと親族が話していたので、駐車場として運用していました。
その後、その情報は間違いでアパートを建てて、賃料収入を稼げるということが判明しました。
というのは、少し離れてはいますが、近くに私立の総合大学があり、学生数か半端ではなかったので、賃貸住宅のニーズは厳然とあったからです。

それまでも、提案はあったのですが、聞く耳を持っていなかった姿勢を改めて、いくつかの大手マンション会社、デベロッパーに打診してみました。20年以上前のことです。 そうすると彼らからはすぐに提案があり、素晴らしいモデルプランの紹介がありました。 基本は、土地を担保にお金を借りて、建物を建てて、賃料を確実に取る。 そしてその賃料から借金を返していくというものでした。 管理をその会社が受けるとか、一棟ごとその会社が借り受けてとか形は様々ですが、基本は土地でお金を借りて建物を作って、賃料で回収するというものでした。 これが後々のアパート経営に効いてくるのですが、そうとは知らず罠に掛かったような形です。
大学が近い事もあり、私自身強気だったので、一棟借り受けとか、賃料保証とかいう提案には応じず、建物を作ってくれたら、それ以外は全部自分で経営ということで話を押し切りました。 新築当初は賃貸人が切れることはあまりなく、ロ-ンの返済は、持ち出し無しで何とかこなしていっておりました。 ただ、5年経過したあたりからメンテナンスがチョクチョク出てきて、空室もでるようになってきました。
地域の変化で危うく借金地獄に

私は相続した親の土地の上にアパ-トを建てましたが、同じような状況の人がいるもので、13年目になった時にすぐ近くに新しいマンションが出来ました。 アパ-トではなく、分類からするとマンションということになる建物でした。 私の古くなったアパ-トとは異なり、おしゃれなデザインで各戸にトイレ、風呂がついていました。 そちらの方に変わっていく学生さんもいましたし、新規で入ってくる学生さんが激減しました。 20戸ある私のアパ-トは13戸程度は埋まっていましたが、残りの7戸ほどはいつもどこかが開いているという状況がしばらく続き、アパート経営は苦しくなっていきました。
ただ、賃料が私のアパ-トは3万円を切っていましたが、その新しいマンションは5万円弱でしたので、入れる学生さんも限られています。 その為に、私のアパ-トが完全に賃借人ゼロということには何とかならず、踏みとどまっていました。
それでも13戸ほどだと、借金の返済に足が出てしまい、毎年50万円程度持ち出しになっていました。
月換算だと約4万円なのでまだかわいい方ですが、これが自分の所得で賄えないような額になっていたら本当に地獄だったと思います。
新築時の賃貸需要が続くと思うと地獄を見る

最初の10年は常に100%賃借人で埋まっていた私のアパ-トが13年を過ぎたあたりから空室がかなり出るようになり、持ち出ししながらアパ-ト経営をしていました。
だから、保守メンテナンスにかけるお金がなく、修理はなかなかできずに住んでいる学生さんたちには苦労を掛けることも多々ありました。
そうして数年たったころに、近くの総合大学が大阪府から他府県に移転することが決まりました。
その為、準備をしておけばよかったのですが、何をするにもお金がかかるので、そのままその時をじっと待っておりました。
学生さんたちは移転の伴い、順番に転居してゆき、最終的に誰もいなくなりました。 銀行へのロ-ンの返済は、16年目になる去年完済していたので、持ち出しというのはなかったのが不幸中の幸いでした。 18年かけて、銀行から借りた資金を完済して、さあこれからお金の成る木となるはずだったアパートは、地域のゴーストタウン化で空室だらけの朽木になってしまいました。
事例まとめ
- 賃貸ニーズがあることを見越して購入
- 安易な話に流されず、自分の判断で運営
- 地域の変化があることを想定して戦略が組めなかった
- ローン返済以外の積立金を準備できていなかった
これからどうしようかとても悩んでいます。 現在はアパ-ト構造を生かしながら、一部の所を共用スペ-スに改造して、シェアハウスをつくるという計画を立てています。 アパート建築の借金はなくなっているので、その分は費用がかからず、リフォーム代だけで何とかなりそうです。 借金を抱えて破産、という事態にはならずに済んだのでよかったですが、勉強代としてはかなり高くついた形になります。
アパート経営で借金地獄を見ない為の運営とは
上記の事例では、きちんと賃貸需要がある地域を選んだものの、地域の変化、建物の老朽化に対応できずに苦しむ事になってしまいました。
この体験談からわかる事は、賃貸需要がある地域を選ぶのはもちろんとして、物件の状態に合わせて、売却という選択肢をとれる戦略を立てておくことが重要だ、という事です。
アパート経営を始める前に確認するポイント
- 賃貸需要がある地域を選ぶこと
- 収支が合う物件を選ぶこと
- 地域、物件の状況に合わせて柔軟な戦略をとれるように計画を立てておくこと
次の事例では、建物の老朽化に合わせて、上手く売却して利益を出した方の体験談です。
賃貸需要があって、収支が合う物件を

売却をした中古アパートは2階建てで8室の物件ですが、築年数が32年も過ぎており、老朽化していることで売却を検討した際には結構な労力が必要とされました。 古い物件ではありますが、外観は意外と綺麗な状態を保っていて、物件の近隣にはバスの停留所の他、徒歩で10分程度の位置に地下鉄駅があります。 更にスーパーマーケットも徒歩圏内にあり、コンビニエンスストアは物件から15メートル程度の近い位置で営業をしているなど、古い割には空室になる期間が少ないことがメリットでした。 購入額は約1,800万円で社長のサービスとして安く購入することができ、利回りは約7%という計算に落ち着いていたので利益確保においても問題はありませんでした。
将来の収益性を見越して売却も視野に

最悪建物を取り壊して土地売りでも十分に元を取れる、という計算ができたのも、購入に踏み切れた大きな要因です。 不動産投資初心者の方は、利回りや、現状の賃料収入のみだけで考えがちですが、実際は年数を重ねるごとに、老朽化が進んで修繕費用が掛かったり、賃料の低下による収益性の悪化などがあります。 そしてそういった問題はある程度予想できるので、問題が発生したときに柔軟に対応できる物件かどうかを確認しておくと、投資のリスクを減じることができます。
今回売却した物件は、まさに色々な場面に対処できる優秀な物件でした。 こういった物件の巡りあわせは運が非常に絡んできますが、見つけられた際にはすぐに買えるように資本を蓄えておくのも不動産投資で利益を出すためのコツかと思います。
売却しやすい状態にアパートを仕上げる
アパートを売却することを希望したことには理由があり、外装面は問題が無いものの専有スペースとなる各室内の老朽化が目立つようになったことが主な理由です。 具体的には水回りの設備機器の劣化や故障、各玄関ドアも老朽化をしており防犯力があまり高くはないことなどをあげることができ、床材のクッションフロアと壁紙のクロスは退去者が出る度に新品へと交換をしてきましたが、修理修繕の費用が大きく掛かるようになったことで売却を決めました。

勿論そのままの状態で売ろうとしても、目立つ老朽化が売却の難易度を上げてしまいます。 そこで、明らかな老朽化部分のセルフリフォームを行うことに決めました。 例えば退去者が出た時点で直ぐに水回りのトイレと洗面台を新品に交換をしたことと、クッションフロアとクロスにおいても地元の問屋経由で資材を集めて自分でリフォームを行いました。 更に玄関ドアの交換も全室済ませており、以前よりも高級感があり防音性能と防犯性能の高いドアへとリフォームを依頼したこともあります。
後は共有スペースの問題ですが、汚れと欠けている部分が非常に目立っていたので、全てを自分で撤去した上でECサイトからクッションフロアを仕入れして張り替えリフォームも行いました。 玄関ドア以外は全て自分1人で施工してきたので、経費を安くすることに成功はしましたが、8室全てをリニューアルするにはかなりの苦労をしてしまったことは事実です。 自分は何とか一人でやり切りましたが、精神的、体力的にかなりタフな作業でした。 時間もかなり取られるため、リフォームする費用があるのならば、外注してもらった方がクオリティの面からも良いので、ケチらずにお願いしておきましょう。
- リフォームは自分で出来る事と業者にお願いすることを分ける
- 金銭的なこと以外での費用対効果を考えてセルフリフォームの計画をしよう
ただ、苦労のおかげもあって、かなりスムーズに物件も売却することができました。 立地がよく、入居率も安定していたので、懸念点である建物のボロさを直したことで、すぐに購入希望者がついてくれました。
事例まとめ
- 収益計算をきちんとして、投資判断
- 色々なケースを想定して、出口戦略を構成
- 一番利益のでる形にして売却
今回の売却によって得ることができた資金を使って、比較的新しい中古アパートの購入をしたことで、これまでよりも利幅を大きくすることに成功しています。
この中古アパートも老朽化が目立つようになった時には迷わずに同じ方法で売却することも既に検討中です。
この物件の購入によって不動産投資に目覚めた結果、その後には2棟の中古アパートを購入しています。
アパート経営の罠に掛かって借金地獄にならないように気を付けよう

いかがだったでしょうか。 アパート経営で難しい点、気を付けるべき点はまとめると以下のようになります。
アパート経営で難しい点
- 現状満室だったとしても、それが永遠に続くとは限らない
- 潜在的なリスクが多く潜んでおり、それらを事前に予測して対応をしておかないとリカバリーが難しい
アパート経営で失敗しないために確認しておくこと
- 長期的に賃貸需要がある地域か
- 地域の変化や老朽化に対応できる物件か
- 売却したいときに売却できる状態にできる戦略が取れているか
不動産投資は、売却が完了して初めて利益が確定します。 購入してから売却するまでのシナリオをいくつか立てながら戦略的に運営できるような物件を選ぶようにしましょう。
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