相続で引き継いだり、ボロ物件投資で購入して木造住宅を所有していると、耐震性の高さが気になるところです。 もし耐震性が、最新の安全基準より低いとリスクが高まります。 ただ、旧耐震の木造戸建てで心配すべきことは、耐震性だけではありません。 旧耐震ということは、築40年以上の物件になります。 そうなると、耐震性以外のところでも、いたるところでボロがでてきます。 今回は 旧耐震基準の木造戸建て住宅を所有するリスクについて、わかりやすくご紹介します。
目次
旧耐震基準の木造戸建てが抱えるリスク

旧耐震基準の木造戸建て住宅は、約40年以上前に建てられてた古い建物になります。 そのため、耐震強度の低下とさまざまな箇所の劣化により、そのまま人が住むにはリスクが高い建物です。 では、一体どんなリスクがあるのでしょうか。
地震による倒壊リスク

旧耐震基準の木造住宅には筋交い(すじかい)という壁のつっかえ棒がなかったり、現在よりも少なかったりします。
約40年前も、筋交いの必要性はいわれていましたが、明確な基準はまだなかったからです。
これは「耐力壁(たいりょくへき)」の量が少ないということになります。
耐力壁とは地震に耐える壁のことです。
そのため地震が起きると横揺れの影響を強く受けてしまい、倒壊のおそれがあります。
このように、旧耐震基準の木造住宅は筋交いや耐力壁が少ないことから地震に弱い建物といえます。
旧耐震基準の木造住宅をそのまま放置すると、筋交いや耐力壁が少ないことから横揺れを止める機能がありません。 よって震度6強以上の地震が直撃すると倒壊のおそれがあります
対処法
旧耐震基準の木造住宅を地震のリスクから防ぐには、耐震リフォームをする必要があります。 具体的には多くの壁に筋交いを入れ、筋交いの入った耐力壁を増量することです。 また、耐力壁のバランスをとり、最適な配置を行うことがあげられます。 そうすることにより、地震による横揺れを低減でき、地震による倒壊から防ぐことができます。 耐震補強については、下記記事で詳しく解説しています。
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雨水の浸水による建物内部の腐食リスク

一般的に旧耐震基準の木造住宅の屋根や外壁は雨水が浸水しやすい構造になっています。 屋根には瓦が載せられており、和瓦であれば南蛮・漆喰で防水されています。 ただし南蛮・しっくいは経年劣化を起こすと、ひび割れができたり、落下します。 するとそこから雨水が侵入してきます。 外壁も同じ理屈で、和風住宅であれば柱や梁のすき間はしっくいで防水されています。経年劣化を起こすと、同じようにひび割れができたり落下します。 そのため旧耐震基準の木造住宅は、雨水の侵入に弱く、構造体・天井・壁・床を雨水によって腐食させやすい造りになっています。 一度雨水の侵入を許すと、建物の腐食はどんどん進みます。 やがて壁が落ちてきたり、電線が漏電を起こすと火事の危険性もあります。
対処法
旧耐震基準の木造住宅で雨水による浸水が見つかったら、浸水箇所を特定して全て修繕・補修を行いましょう。 もし屋根の浸水を許していると、台風や大風の時屋根ごと落下してくる危険性があります。
地盤が弱いことからの地盤沈下リスク

旧耐震基準の木造住宅では、地盤調査がされていない土地に住宅を建てられていることがあります。
そのため地盤沈下のおそれが予想されます。
ちなみに地盤沈下には「広域での沈下」と「局地的な沈下」の2種類があります。
また地盤調査が必須になったのは2000年(平成12年)の改正からです。
それ以前は地盤調査の必要がなく、盛土や埋め戻した地面に建てられている住宅もありました。
盛土や埋め戻した地面は大変危険なので、安くても建てないようにしましょう。
そのまま放置すると、建物が傾斜し、基礎が崩壊したり、壁にひび割れが発生します。 また、ガス管や上下水道管が破損するおそれもあります。
対処法
対処法は、既存の建物の下部地盤に薬液注入工法を行い地盤改良を行います。 以前は、既存住宅への地盤改良はできませんでした。 ところが現在は薬液注入工法であれば、そのままの状態で地盤改良が可能です。
シロアリなどの害虫によるリスク

旧耐震基準の木造住宅は約40年以上前に建てられた建物です。 そのため当時はシロアリ駆除の薬剤を塗ってありません。 もし1箇所でもシロアリ被害が出ていると、間違いなく住宅はボロボロに食い荒らされています。 絶対にシロアリの検査は行いましょう。
シロアリの被害にあってしまうと、木材は朽ちたり、枯れたり、腐食したりします。 また、それだけにとどまらず、木材から木材へと移っていき、最終的に住宅に使われている木材は全て食い荒らされます。 そうなると、構造体がボロボロになるので、地震の時は倒壊するおそれがあります。
対処法
対処法は、定期的にシロアリの検査を行い、専門業者による薬剤を使った防除を行うことです。 シロアリ対策についての記事についても書いているので、こちらもご覧ください。
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その他、懸念される事項
上記のリスクの他にも、旧耐震基準の木造住宅では、色々な不具合が生じる可能性が高いです。 具体例として考えられるものとしては、下記のような事項です。
- 壁のひび割れ
- 水道管・ガス管・電線などの劣化
- 筋交い(すじかい)が少なかったり、入っていないことによる建物の傾き
- 各種税制控除が受けられない
例え建物自体に倒壊の危険性がなくとも、見た目が悪いと周囲の景観を壊したり、赤錆などで健康被害が発生したりします。 そういったこともあり、旧耐震基準のままの木造住宅に住むのはおすすめできません。 末永く、安心して住みたいのであれば耐震リフォームなどで対応するようにしましょう。
旧耐震基準の木造戸建て住宅のリスクまとめ
旧耐震基準の木造戸建て住宅のリスクについてわかりましたでしょうか。 まとめると、4つの主要リスクがあります。
- 耐震性不足による倒壊リスク
- 雨水の浸水による腐食リスク
- 地盤沈下リスク
- シロアリなどの害虫リスク
これらに一つでも当てはまるのであれば、危険な建物であると言えます。 早急なリフォームが必要です。 予算に余裕があって思い入れがある物件なら耐震リフォームをおすすめします。 もし、思い入れがない物件であれば、できるだけリスクが表面化する前に売却されることをおすすめします。
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