固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に支払い義務が発生し、毎年5月ごろに納付書が送付されます。 内容を確認すると固定資産税額が少し減っている時がありますが、どのようにして算定されているのでしょうか? また、上がることはあるのでしょうか? この記事では固定資産税が下がる仕組みについて解説します。
目次
固定資産税が下がる仕組み
固定資産税は建物と土地どちらも下がりますが、下がり幅は非常に緩やかです。 また、毎年コンスタントに下がるわけではありませんので、いつの間にか下がっているという方も多いのではないでしょうか。実際には3年に1度見直しがされています。 建物と土地はそれぞれ下がる仕組みが違いますので、解説します。
建物:木造であれば最大35年、非木造であれば最大65年をかけて下がる

建物の固定資産税は総務省が公開している設備の算定額を積み上げることで算定されます。 壁の材質やキッチンの大きさなど、非常に細かく設定がされていますが経年劣化により新品の時よりも価値がなくなるため、その分固定資産税は下がるという仕組みです。
総務省のHPにある家屋経年減点補正率基準表には、木造で35年非木造で65年を最大として補正率が低くなっています。 一番低い補正率は0.2となっており、建物は新築時の最大20%まで下がることを示しています。 (引用:https://www.soumu.go.jp/main_content/000755427.pdf)
築年数が増えるにつれ固定資産税評価額が下がるため、原則固定資産税は下がり続けることになります。
土地:固定資産税評価額によって変わる。年が経てば下がるわけではない

土地の固定資産税が下がることはあまりありませんが、土地の状況に応じて評価額が低く見直されることもあります。 土地の固定資産税は公示価格の70%となるように設定されており、公示価格は「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」から調べることができます。
公示価格は複数の不動産鑑定士が全国の起点を総合的に鑑定し、算出されます。
そのため、建物と違いコンスタントに下がるわけではなく周辺の土地取引状況や公共施設の建築などに左右されます。
つまり、最寄りの駅がなくなったり急激な人口流出、地震などによって大規模な地盤沈下などがないなど、土地の価値を下げるような現象が起こらない限り、土地の評価額は下がることはないということになります。
固定資産税は下がっても0円にはならない

固定資産税は残念ながら0円にはなりません。 家屋は約20%の価値が残り、土地については特別な事情を除いて0円となる可能性は低いです。 建物は何故0円にならないのでしょうか? これは、建物の資産価値と利用価値は別だという考え方があるからです。 木造住宅は35年で固定資産税評価額は最も低くなりますが、倒壊のリスクがあるわけではありません。 どの町にも築35年以上の住宅は多く建っており、中には50年以上の住宅もあります。 そのため、経年劣化による評価見直しは木造で35年間、非木造で65年間で行われるものの、ある一定数の価値は住宅に内包されることになります。 一方、土地の固定資産税はあまり下がることはないと前述しましたが、0円となるケースはあります。 それは、住宅として利用しなくなり山林などの地目に変更となったケースです。 非常に稀なケースですが、課税額が30万円未満となった場合は固定資産税の非課税枠となり、免税となります。 尚、家屋にも20万円未満という非課税枠がありますが、原則20万以上の評価額が残ります。
固定資産税が逆に上がってしまうケース
ここまで固定資産税が下がる仕組みについて解説しましたが、逆に上がってしまうケースもあります。建物と土地それぞれのケースについて解説します。
建物の固定資産税が上がってしまうケース

リフォームやリノベーション、増改築を行った場合に固定資産税が上がります。例えばキッチンをリフォームした場合、35年経過している場合は約6万円の評価額が約30万円となります。 詳しくは「固定資産税を高くしてしまう設備についての記事」を御参考ください。 また、増改築は建物面積が増えることになり固定資産税が増えます。増改築については登記をしているしていないに関わらず固定資産税の評価額に含まれてしまいますので、注意が必要です。
土地の固定資産税が上がってしまうケース

土地の固定資産税は下がる場合よりも上がる要素の方が多いと言われています。前述した通り、公示価格が上昇することで固定資産税評価額は上がります。 しかし、もう1つ土地の固定資産税が上がる原因があります。 それは、建物を解体した場合と特定空き家に認定されてしまったケースです。 この場合、翌年以降の固定資産税額は約6倍になります!
そもそも、宅地は住宅のための土地です。 そして、住宅を建てるための土地は他の土地に比べ大きな税制優遇を受けることができます。 税制優遇を利用する事で、宅地の評価額を1/6にとして計算できます。
つまり、建物がなくなった場合は住宅に要する土地ではなくなるため税制優遇が利用できなくなり、6倍となってしまうことになります。

さらに、特定空き家に認定されてしまった場合にも同様に6倍となってしまいます。 平成27年より、空家等対策の推進に関する特別措置法が施行されています。 この法律は放置されている空き家の所有者に対し、管理修繕の命令や罰則、税制優遇の特例措置除外の適応を市町村が行う事ができるという内容です。 居住している家屋であれば問題ありませんが、転勤などで空き家になり長期放置しておくと 空き家認定となる可能性がありますので、しっかり管理するようにしましょう。
固定資産税は毎年必ず下がるわけではない

この記事では固定資産税額が下がる仕組みについて解説しました。 3年に1度見直される固定資産税ですが、建物の評価額は緩やかに下がり、土地はあまり下がることはないと覚えておきましょう。 一方、リフォームやリノベーション、増改築を行う事で建物の固定資産税が増えてしまいます。 土地については何もしていなくても上がる可能性があり、解体したり空き家認定された場合は6倍の固定資産税額となってしまいます! 不動産を所有している以上、固定資産税は必ず発生します。少しでも固定資産税を抑えるために、仕組をしっかりと理解しておきましょう。
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